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MILK&honey
第24章 ずっと君を見ていたい
「切り花じゃなくて、鉢植えなら有んですけどねー」
オヤジさんが済まなそうに、俺の目の前に手のひらを差し出した。
「えっ、鉢植えっ?…………えぇえっ?!」
……なんと。
鉢植えは、オヤジさんの手のひらの上に乗っかっていた。
ちーっちぇー鉢植えにてんこ盛りに咲いている、もんのすっげーちっちぇーピンクの花。
到底薔薇とは思えねんだけど、花の形を、よーく見ると。
「うっわ、すっげ……ほんとに薔薇だ……」
もう、豆粒くれぇの大きさの薔薇だ。
俺の指の先よりもちっさい。るりちゃんの指なら、いい勝負かも。
でも、ちゃんと花びらが沢山有る薔薇で、白とかピンクとか混じった薔薇だ。
「ね!可愛いでしょう?良かったら、サービスしますよ!」
うん、可愛い。すげー可愛い。
でも、鉢植えは……思ってんのと、かなり違う……。
「駄目ですかねぇ、鉢植えは。この子、最後の一鉢なもんで、不憫でねえ……」
「う゛っ」
「泣き落としても鉢植えなんてダメに決まってるでしょっ!!」
すんません、花屋さん。
今更薔薇を買おうって間抜けな俺のせいで、父娘ゲンカになりかけている。
……それに。
俺が買わねーと、一人ぼっちで残っちまうのか、この薔薇は……!
「……あー………………んじゃ、頂きます、それ……」
「えっ?」
「えっ!」
俺が財布を取り出すと、娘さんがびっくりして、オヤジさんが嬉しそうになった。