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MILK&honey
第25章 「……最後まで、しよ?」
二人のお財布、って言っても。
用意してくれたのも中身を入れてるのもかーさんだから、ほんとはかーさんのお財布なんだけど……。
「るりちゃんは、作ってくれてるってだけで、お釣りあげてーほど、充分だから!代金くれーは出させて!お願い!!」
……って、私には中身を入れさせてくれない。
「もちろん。そうしてくれねーと、困るから!……これで全部?」
かーさんは、自分の荷物と、スーパーの袋と、私の鞄を持ってくれようとする。
「そんなに、重いよ!鞄は持つってば」
「……るりちゃんは、そいつを抱えねーと……でしょ?」
言われて、薔薇の花を見る。
花束にしてない、一本ずつ渡された薔薇。無いとは思っていなかったけど、たくさん有るとは思わなかったから、袋とか包み紙とか、持って来なかった。
「どうせ、タクシーつかまるまでだし……大通りに出たから、すぐだって」
行こ、とかーさんに促され。
「……ん……ありがと」
白薔薇の束を抱えただけで、かーさんの後に付いて、スーパーを出た。
かーさんの言った通り、タクシーにはすぐに乗れた。
学校でも、スーパーでも、通りでも、荷物持ってたし人目も有ったから、今日は全然かーさんに触ってない。
……手を、繋ぎたいな……。
……って、思ったんだけど。
そう思ったのは、私だけみたいで。
後部座席に並んで座ったかーさんはこっちを向いてくれなくて、窓の外を、ずーっと見ていた。