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MILK&honey
第25章 「……最後まで、しよ?」
*
「ただいまー」
「ただいまっ」
帰ってくる間の道は、混んでなかった。
かーさんは帰り道の間ずっと、ぼんやり外を見ていたけど、時々なんか聞くと、ちゃんと答えは返してくれた。
……疲れちゃったのかな。
いつも着ないスーツで、写真をたくさん写してくれて、荷物もほとんど持ってくれて。
早くご飯作って食べてもらって、お風呂も入って、ゆっくりして貰わなきゃ。
スーツ姿はかっこいいから、すぐ脱いじゃうのは、ちょっともったいない気がするけど……。
玄関から上がって、靴を脱ぐ。
かーさんが先に入って行ったから、鍵を閉めてから後に続く。
「スーパーで買ったもん、ほとんど冷蔵庫?……パンとスパゲッティは、外でいっか」
レジ袋をテーブルに置いて台所で手を洗ってうがいをしたかーさんに、冷蔵庫の扉に手を掛けながら聞かれた。
「うん、そう。パンとか、今日か明日使うから、テーブルかキッチンの隅っこに置いておいて……あ、それと」
「んー?」
「かーさん、花瓶持ってない?」
冷蔵庫に食材を仕舞ってるかーさんに尋ねる。
「……それ入れんのか」
「うん。花瓶無かったら、バケツでも、なんでも……しおれちゃったら、可哀想だから」
「るりちゃん?」
「なに?」
「ちょっと……聞きてー事が、有んだけど。」
私が聞いた、花瓶やバケツについての返事をする前に。
かーさんは難しい顔をしながら、私に向かって聞いて来た。