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MILK&honey
第28章 末永く、よろしくお願い致します。
「お兄ちゃん?」
「なんだ?」
話が一段落したと思ったら、るりが真剣な顔付きで言った。
「いい機会だから、言っておくね。……私、ここから学校に通いたい。」
「なんだって?!」
「ええっ!」
るり……それ、初耳なんだけど?!
「高校は家の方がちょっと近かったけど、大学はここからの方が近いの。先々、実習が有ったりするし、国試も有るし……出来るだけ、良い環境で臨みたいの」
るりは巧にそう言うと、今度は俺の方を見た。
「……光さん?」
「へっ?!」
呼び方に驚いてたら、るりがぺこっと頭を下げた。
「お願いします。私を、ここに下宿させて下さい。」
「げしゅ……」
「待て、るり!何言ってるんだ?!」
「……お兄ちゃんだって、大学の時家を出たよね?私も、このタイミングで、家を離れたい。バイトして部屋を借りることも、考えたけど」
「駄目だ、るり!」
「そんなんダメっ!!」
俺と巧の声が被って、るりに苦笑された。
「うん……考えたけど、難しいかなあって。急にひとりで暮らすのも、いろいろ怖いし、不安だし」
「そーだよ!ひとりは、ダメだかんね!!」
「だからって、光の家に住まなくっても」
また声が被って、苦笑される。
「じゃあ、お兄ちゃんとこに下宿させてくれる?」
「それは……」
口籠もる巧を見たるりが、ふっと笑った。