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MILK&honey
第28章 末永く、よろしくお願い致します。
「光さん?」
「ん?」
るりが、巧から俺の方に体ごと向き直った。
「光さん、最初にここに来てからずっと、いつでも来ていいよって、言ってくれてたよね?」
「……うん。」
「私、ずっとそれに甘えて、ここに来させて貰ってた。……だったらいっそのこと、遊びに来るみたいなのじゃなくて、ちゃんと費用もお支払いして、下宿をお願いしたいなあって、思ったの」
そんな、今さら、他人行儀な……!
「そんなん、気にしないでよ!俺はちゃんとしたご飯食べれる日が増えただけでも、すげー助かってるんだから!空いてる部屋有んだから、下宿代とかなんとか細けー事は気にしねーで、いつでも越して来てくれて良んだよ?」
俺としては、正直言うと、こっちがお金を払ってでも、住んで欲しい。
下宿じゃなくて同棲か、なんなら結婚だって良い。
……巧が居るから、言えねーけど。
この前、居なくなられて身に沁みた。
もう、るりの居ねーこの部屋なんか、味気なくって住めたもんじゃねーよ。
それは、俺がるりのことが女として欲しくて好きだからなのか、るりがくれる安らぎやなんかに満ちたあったけー生活の味を憶えちまったからなのか、どっちかなのかどっちもなのか……ま、どっちもなんだろーな。
両親が居た頃の実家ってこんなんだったっけとか、るりと居るとたまーに、思っちまう事が有る。
金で買えねーもんを惜しみなく俺にくれるるりに、下宿代なんざ貰えねー。俺は心底そう思ってんだよ、るり。
「そういう訳には、行かないよ。ずるずる甘えたくないもん。……って言っても、ここのお家に見合うほどの下宿代は、払えないかもしれないんだけど」
「んなもんっ」
んなもん、要らねーって!
居てくれるだけで、良んだって!
……って言って、ぎゅーって、抱き締めてーんだけど……。
……巧が……
……巧が、すんげー邪魔……。