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MILK&honey
第28章 末永く、よろしくお願い致します。
「……邪魔したな」
「え゛。」
巧……俺の心の声、聞こえちゃった……?
ほんとに、エスパー?!
「今日は、帰る。実家に帰ると言ってあるから、一応顔を出して来る」
「ん。ごめんね……よろしく伝えて」
「ああ。……光?」
「うん?」
「るりを、頼む。」
「あー、うん。任せて。」
ソファに沈み込んでるるりの代わりに、巧を玄関まで見送る。
ちなみにソファから立ち上がれねー理由は、あくまでも卒業式の疲労の為だ。
「じゃ……くれぐれも、宜しく。」
「……うんっ」
最後にそう見詰められて、なんか、背筋がぞくっとしたけど。
とりあえず今日は、どんなに宜しくされたって、後ろめたい事なんか全然無いもんね。
ほがらかな気持ちで追い出……手を振って見送り、そそくさとリビングのソファに戻った。
「るり」
「光」
巧が居なくなったから、堂々とるりの隣に引っ付いて座る。ぐったりした体を、自分の体にもたれさせる。手を差し出して来たから、それも包み込む様に握ってあげる。
「……ごめんね、急に。お兄ちゃんより先に、相談しようと思ってたんだけど」
「なんで?相談なんざ要らねーよ。いつからでも引っ越して来な?」
「……うん……ありがと……頑張って下宿代バイトして稼いで……ご飯も作るね?」
「金はともかく、またるりと飯食えんのは、すっげー嬉しい…………あ。」
思い出した、大事なこと。
るりに断って立ち上がり、さっきカメラと一緒に取り出したまま弄んでて開けてない小箱を、持って来る。
「なぁに?」
「……飯以外にも、頼みが有った」
ほんとはるりに開けて欲しんだけど、薔薇は別の日に貰いてーって、言ってたからな……自分で開けよう。
「こいつの世話してくんねーかな?」
箱の中身を手の上に乗せて、るりの方に差し出した。