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MILK&honey
第6章 「……へんな、人……っ」

『あら!……茹でたインゲン豆みたいな色ねえ』

 お兄ちゃんの入学直後の、お母さんのびっくりした声を思い出す。

『違うよ。カマキリって言われてるんだよ』
『変な色ー!!豆もカマキリもー、どっちもやだー!!』

 全然似合わない緑色のジャージを試着したお兄ちゃんにそう言って、赤とか青とか無いの?って聞いたら、学年で決まってるんだって、ムスッとされて。
 お母さんと二人で、もう言わないであげようねって、こそこそ約束したっけ。

 そんなジャージを、今頃になって、こんなとこで着るなんて……

「………へっ…………へんな、人……っ」

 思いっ切り、吹き出した。

 ショッキング紫のホコリまみれのブラに、カマキリみたいな緑のジャージ……
 どっちも、変だよ!!
 どっちも滅多に見ないような物だよ……!
 
 なんか、力が抜けちゃった。変すぎて。
 いらいらしてたのが、馬鹿らしくなる。
 くすくす笑っちゃいながら、ジャージの上も下もしっかり着込んだ。

 スカート以外は豆色になった自分を鏡で眺めて、また吹き出して。
 妙にすっきりした気分で、カーディガンを持って、リビングに戻った。

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