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MILK&honey
第7章 遠慮しないで、ウチにおいで

「別に、ウチに住めって意味じゃねーよ?」
もちろん、住んでくれても全然良いけどね?
「行き場が無いとか、帰りたくねーって思った時は、遠慮しねーでここにおいで、って言ってるだけ」
巧の方は見ずに、るりちゃんに言う。るりちゃんは目に涙をいっぱい溜めて、唇を噛んだ。
「幸い、ウチには全然使ってない部屋も有るし、誰も来ねーし」
空き部屋が有るのは、みんなの中で多分俺んとこだけだ。
今の環境は全部仮住まいと思ってて、機会が有ったら出て行きたいと思ってるのは、俺だけだから。
そんな風に自分すら居着かねーんだから、誰も遊びに来たりしない。集まる時も使われねーし、面倒だから女を連れ込んだ事もねえ。そんな事したらセキュリティーもクソもねーと思う……んだけどな。
すげーな、巧。ってか、巧の女。
「……そんな話」
るりちゃんの纏ってる空気が、せっかく少しずつほんわかして来たってのに。
妹より女を取った野郎は、まだトゲトゲしてやがる。
「そんな下心が見え見えの話、聞けるか!」
「下心が有り有りだったら、兄貴にわざわざんな事言わねーだろ?」
「お前の都合が悪い時は、代わりにここに来たら良いって言ってるだけだ。何もしねーよ」
「初対面でるりと結婚したいなんて言った奴にそんな事言われても、信じられる訳無いだろう!?」
あ、そうでした。
それは今でも全然変わってない……どころか、益々思ってますけどね。それはそれ、これはこれ。
「現に、さっきだって何もしてねーだろうがよ。服貸して、洗濯して、ミルクティー作ってあげただけ」
涙も拭いてあげたけどな。それは親切の範囲だろう。
「服貸してやって洗濯するからって制服脱がせたのは、何か魂胆が有ったんじゃ無いのか?」
「……もしお前にそういう魂胆が有ったとしたら、わざわざカマジャーなんか貸す?」
「っ」
同じジャージを憂鬱な気持ちで三年着続けた同級生は、衣服として有り得ないレベルの緑色に視線を走らせて、見事に黙った。

