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MILK&honey
第7章 遠慮しないで、ウチにおいで

るりちゃんは、すっげえ可愛い。
本っ当に可愛いから、こんな毒々しい緑のジャージを着ていても、その愛らしさは少しも損なわれねー。
むしろ、プリーツスカートにショッキング緑のジャージの重ね履きに、妙に萌える。るりちゃんが着る場合に限ってだろうけど。
ってことで俺の気持ちはカマジャーくらいで萎えたりしねーけど、普通は無しだろ、カマキリグリーン。
「……それは……」
「な?もっと違う服貸すだろー?」
白いシャツとか、だぼっとしたパーカーとか、緩めのセーターとか、貸すだろー?その方が、楽しいに決まってるだろー?
この悲惨なジャージをお貸しする事で、俺は誠意を示してる訳ですよ、お兄さん。
考え込む巧に、心の中で、そう囁き掛ける。
……いやー。
さっき、親切の範囲からはみ出る様な事しないどいて、良かったー!!
「……本当か?本当に、余計な事は何もされて無いのか」
「うん。」
疑い深い巧の問い掛けに、るりちゃんが何の裏も無いまっさらな瞳で、こくんと頷く。
るりちゃん……あれ、あの目を伏せたやつ……キス待ち顔じゃ、無かったんだな……なーんにも、思ってなかったのか……。
ってか、何か物体が近付いて来たから目を閉じちゃいましたって事だとすると、俺はボールかなんかなんだね、るりちゃんにとっては。
兄貴の質問に真っ直ぐ答えられる、生粋の箱入りちゃんで良かったよ……って思っとくことにするわ、男として見られて無すぎて切ないから。
「……だからって、そんな非常識なこ」
ちょっとだけ傷心の俺に向けられた巧の言葉が、止まった。
目が、泳いだ。
ポケットからスマホを出して、ちらっと見た。

