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MILK&honey
第7章 遠慮しないで、ウチにおいで

「……悪い、急用が入った。続きはまた後で」
「え。後っていつ」
「後は後だ」

 そんな事言われて、睨まれても。
 肝心な事が、全く解決していない。

「結局、るりちゃんはここに居て良いの?」
「……今は。とりあえず、今だけだ」

 一瞬の沈黙の間も、なんだか心ここに有らずだな。
 なんだ?さっき言ってた女か?妹より優先するって酷ぇんじゃないか、おい。
 何か言ってやろうかと思ってる間に、ドアが開いて、出て行きかけて。

「良いか。絶対、手は出すな。」

 理不尽に睨まれてから、パタンと閉まった。
 

   *

「以上で、おしまい。ウチん中は、こんな感じかなー」
「はい……っしゅんっ」

 ……なんだ、今の……?!

 くしゃみか?!
 くしゃみなのか?!
 こんな可愛いくしゃみが、この世に有るのか……!!!!
 録音しとけば良かった!……とか言ってる場合じゃねー。

「ごめん、冷えた?戻ろっか」
「……はい」

 くしゃみが恥ずかしかったのか、るりちゃんは俯いてリビングまで付いて来た。
 
「なんか飲む?あったかいもの……つっても、ミルクティーとかお茶あっためるか……あとは、番茶くらいしか無いけど」
「番茶?」
「や、あの……実家の爺ちゃんに、持たされて……あとは花梨蜂蜜のお湯割りとか?」
「かりん……」
「年寄り臭いよね?ってか、知らないか……それも、爺ちゃんに持たされてさー……」

 喉にいいから持ってけとか、言われんだよな。
 じじくせー俺、と思ってたら、るりちゃんが天使みたいにほわっと笑った。

「懐かしいです、かりん」
「え?」
「お母さんも、作ってました。かりんとか、きんかんとか」
「へー!!」
「庭に木があって、一緒に取って、手伝って……もう、切っちゃったけど」
「えっ」
「棘があるでしょう?かりんも、きんかんも……お洋服引っ掛けるから、嫌だって」
「そっか……」

 るりちゃんは、懐かしそうに笑ってるのに。
 俺だけなんか泣きそうになって、勝手にうるうるして来やがるのを、必死で我慢した。

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