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MILK&honey
第9章 ご飯にしますか?お風呂にしますか?
「悪いと思ってねーだろ、お前!!」
悪いと思ってねーだけじゃなく、すげーおかしいと思ってるだろ!!
「……ごめん……知らないうちにおかーさんになってたんだね、光……」
「おかーさんじゃねえわ!」
おかーさんじゃなくて、かーさんだっつの!!
「…………るりっ……」
「はい……」
どうにか笑いを収めた巧は、るりちゃんの目を見て言った。
「分かった。ご厚意に甘えよう。うちが都合付かない時は、こちらにお世話になりなさい」
「はい!」
「なるべく、迷惑掛けない様に……ついでに、油断もしない様に」
「はいっ!」
るりちゃん。そんな力強く返事しなくて良いんだよ?
迷惑掛けても、良いんだし……油断したって、全然良いよ……?
「細かい事は、追々打ち合わせるとして……宜しく頼む、おかーさん……」
「違ぇわ!!!!」
こうして巧は、るりちゃんの時々の居候を許してくれた。
翌日腹筋が痛いとまた笑いながら文句を言われたが、知ったこっちゃ無い。だったら笑わなきゃ良いだろうがよ。
以上、非常に不本意な理由ながら、めでたくるりちゃんはウチに来られる事になったのだ。
*
「ところで、進路どうするんだ?るり」
吹き散らかされたきなこを、るりちゃんの白い目と共に渡されたふきんで笑いながら巧が拭いて、食卓に平穏が戻った。
「……進学したい。大学か、短大か、専門かは、迷ってるけど……なりたいものが、出来たから」
しゃきっと姿勢を正して、るりちゃんが宣言する。
「そうか。頑張れよ。面談とか有って、家に言いにくかったら行くからな」
「うん」
なりたいものの為に進学……か。
えらいなー、るりちゃん。
俺の高三の時なんか、流されるだけで、なーんも考えてなかったもんな……今も、あんまり変わんねーけど。
あれから、五年……六年か?
巧や朔だけじゃなく、同級生で大学に行った奴等も、みんな社会人になってっからなー……。
兄妹の会話を邪魔しない様に黙々とくず餅を食ってたら、るりちゃんがびっくりする事を口にした。
「お兄ちゃんは、どうするの?……進路。」