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MILK&honey
第9章 ご飯にしますか?お風呂にしますか?

「最初は、みんな、普通に友達だったのに……お兄ちゃんが有名になって、きゃーきゃー言われて、いろんなこと頼まれて……でも、私はお兄ちゃんとは関係ないって断ってたら、ケチとか偉そうとか言われ始めてっ……」

 巧は、何も言わなかった。

 軽い気持ちで入った世界じゃ無いだろうし、楽に続けて来られてる訳でも無い。それは、るりちゃんよりも、俺のが分かる。
 けど、その道を巧が選んだことで辛い目に遭ってるんだと、るりちゃんに言われてしまったら。

 自分が言われているかの様に、るりちゃんの言葉が胸に刺さる。

「お兄ちゃんは、どうして今の仕事してるの?そんなに好きな仕事なの?有名になりたいの、お金が欲しいの、ちやほやされたいの?」
「るりちゃん、」

 今まで溜めていた分、一度口に出したら止まらなくなったらしい。
 けど、それ以上は……言う方も、言われる方も傷付ける。

「私は、普通のお兄ちゃんが良か」
「っ!!」

 椅子をガタンと大きく鳴らして、立ち上がる。
 るりちゃんがビクッとして、押し黙った。

「……巧?」

 俯いたまま怯えたように固まったるりちゃんではなく、巧に告げる。

「ごめん、帰って……巧。」

 ぴくっと肩が揺れたるりちゃんの方から、巧の方に視線を移す。

「光」
「るりちゃんは、落ち着いたら、巧んとこに連れてくから。先に、帰ってて」
「……ああ。」

 巧は、立ち上がって、るりちゃんを見た。
 ……だけど、なんにも言わないまんま。

 俺の肩を一つ叩くと、そのままウチから出て行った。
 
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