この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
MILK&honey
第9章 ご飯にしますか?お風呂にしますか?
「最初は、みんな、普通に友達だったのに……お兄ちゃんが有名になって、きゃーきゃー言われて、いろんなこと頼まれて……でも、私はお兄ちゃんとは関係ないって断ってたら、ケチとか偉そうとか言われ始めてっ……」
巧は、何も言わなかった。
軽い気持ちで入った世界じゃ無いだろうし、楽に続けて来られてる訳でも無い。それは、るりちゃんよりも、俺のが分かる。
けど、その道を巧が選んだことで辛い目に遭ってるんだと、るりちゃんに言われてしまったら。
自分が言われているかの様に、るりちゃんの言葉が胸に刺さる。
「お兄ちゃんは、どうして今の仕事してるの?そんなに好きな仕事なの?有名になりたいの、お金が欲しいの、ちやほやされたいの?」
「るりちゃん、」
今まで溜めていた分、一度口に出したら止まらなくなったらしい。
けど、それ以上は……言う方も、言われる方も傷付ける。
「私は、普通のお兄ちゃんが良か」
「っ!!」
椅子をガタンと大きく鳴らして、立ち上がる。
るりちゃんがビクッとして、押し黙った。
「……巧?」
俯いたまま怯えたように固まったるりちゃんではなく、巧に告げる。
「ごめん、帰って……巧。」
ぴくっと肩が揺れたるりちゃんの方から、巧の方に視線を移す。
「光」
「るりちゃんは、落ち着いたら、巧んとこに連れてくから。先に、帰ってて」
「……ああ。」
巧は、立ち上がって、るりちゃんを見た。
……だけど、なんにも言わないまんま。
俺の肩を一つ叩くと、そのままウチから出て行った。