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MILK&honey
第9章 ご飯にしますか?お風呂にしますか?

「……るりちゃん?」

 脅かさない様に近付いて、出来るだけ優しく聞こえそうな声を出す。

「……ごめんなさいっ……」

 るりちゃんは涙でぐしゅぐしゅの顔を上げて、小さな声で、でもはっきりと謝った。

「こっちこそ、ごめんな。さっき、びっくりしたろ」
「……ううん……」

 ちょっと迷ったが、座ってるるりちゃんの頭を抱き寄せた。運良くパーカーを着ている。吸水性は問題ない。
 るりちゃんもちょっと迷ったみたいだが、程なくパーカーを握り締める様に抱き付いて来た。
 よしよし、と頭を撫でる。甘やかし過ぎかもだけど、かーさんとして許される範囲は越えてねー……と思う。

「かーさんちなのに、ケンカして……ごめんなさい……」
「大丈夫だよ。るりちゃんが遠慮しなくなってくれてんだなって、かーさんむしろ嬉しいわ」

 るりちゃんがくすっと笑った気配がした。
 ……ぎゅーっとしたい。でも、我慢する。

「……お兄ちゃんに、やつあたりした……」
「うん」
「……思ってない事まで、言っちゃった……」
「るりちゃんにしては珍しく、ちょっと頭に血が上っちゃったかなー」
「……ごめんなさい……」
「それは、後で巧に言ってあげような?」
「ん……」

 すり、と顔をパーカーに一度擦り付けて、るりちゃんは顔を上げた。

「……ありがとう、かーさん」
「気にすんな。かーさんは、こういう時の為に居るのです。」

 ティッシュを渡すと、るりちゃんは顔を拭いて鼻をかんで、にこっと笑った。
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