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MILK&honey
第10章 彼氏が居るので、困ります。

「えっ?!」

 るりちゃんの動きが止まって、一瞬後にかーっと真っ赤になった。
 クッッソ可愛い……!!!!
 なんなんだ?!こんだけでこんなに真っ赤とか、なんなんだ……天使か……?!
 しかし、こんな状態じゃあ、きっぱり断れるとは思えねー。練習だ練習。

「ちょっと、言ってみ?……『彼氏が居るので、困ります。』はい。」
「かっ……かれっ……しっ…………」

 るりちゃんは食べかけのバーガーを握り締め、ごくんと唾を飲み込んで、頑張って言ってみようと……したけど、詰まった。

「言いにくい?『彼氏』って」
「うん……」

 るりちゃんは、頷いた。

「……言いにくい、し……それに…………そんなのっ……」

 そうかー。そうだよな。
 俺と違って、正直過ぎて嘘下手そうだもんな、るりちゃん。

「……俺のるりに、手ぇ出すんじゃねえ……」
「え」

 るりちゃんの目が、零れ落ちそうに見開かれる。

「……みたいに、言ってあげようか?俺、嘘吐き慣れてるから。あ、『手ぇ出すな』ってのは不良みたいか……『俺の彼女なんで、話し掛けないで下さい』とかが無難?」

 ぽかんとこっちを見ていたるりちゃんの顔が曇って、また俯いてしまった。

「……いい……かーさんに、そんな迷惑、掛けられない……」
「んなもん、全然迷惑じゃねーよ?るりちゃんが変な奴に付き纏われてねーかって心配でたまんねー方が、よっぽど辛ぇよ」
「かーさん……」

 るりちゃんは泣きそうな顔を上げて、俺の方を見た。
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