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MILK&honey
第10章 彼氏が居るので、困ります。

 トイレの洗面所で、鏡を見た。
 仕事の化粧、落ち切ってねーじゃん……。

「……急ぎすぎだろ……」

 鏡の中の自分を睨んで、化粧の名残りを無理矢理洗う。るりちゃんのハンカチで拭いて、最後にそれを洗って絞る。ちゃんと洗濯して返さねーと。

 カウンターで頼み込んでお手拭きと袋を一枚ずつ貰い、ハンカチを袋に入れながら、席に戻ろうとしたら。

 るりちゃんの横に、男子学生が立っ……
 ……これか!?ストーカー……!!
 俺の馬鹿……なんでるりちゃん一人にしたんだよ……!!

「この子に、何か用?」

 そいつに、声を掛ける。
 自分より背が高い。見上げる角度になるのがムカつく。
 そいつはちらっとこっちを見たが、目を合わせずに頭を下げると、無言で去って行った。
 なんだよ、その態度は。拍子抜け……じゃねえ、るりちゃん!

「今のが話の奴だろ?!一人にしてごめん、何もされなかった?……るりちゃん?」

 何故かるりちゃんが、ものすごく赤くなってる。
 俯いている耳まで赤い。
 首筋やうなじまで、真っ赤……ダメだ。妙な気分になる。全力で目を逸らす。

「……もう、話し掛けないって……」
「へ?」

 ぼーっとした呟きに、逸らした目を戻す。 
 
「……今までしつこくしてごめんって、謝ってくれました……」
「は?」

 なんで?なんで、急に?

「……ありがとう……かーさんのおかげ……」
「……うん?……良かった、ね?」

 ……まいっか、もうるりちゃんに迷惑かけねーなら。
 きっと、反省したんだな。

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