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MILK&honey
第11章 「彼っ、が居るので、困りますっ!」

*
授業が終わった。
今日はひさしぶりにかーさんちに行くことになっている。昨日のうちに寄らせて貰って、買い物して、お掃除もして、楽しみにしてたんだけど。
「君も帰り道こっちなの?今まで、会った事無いよね?」
「……ごめんなさい、さよならっ」
隣に無理矢理座った人に、駅に行く途中で見つかった。
遠回しに「付いて来ないで」って、言ったつもりだったんだけど。
「ごめん。もしかして、付けてるみたいになってる?でも僕んちもこっちだし」
この人、かーさんち方面に住んでるんだ……
かーさん、しばらく居なかったから。塾のあと家に帰る日が多くって、今まで会わなかったんだ。
なんだか怖くなって、駅のトイレに入って、かーさんに電話した。
……出ない。
お仕事だもん。出てくれるって思うのは、甘えだよね……。
トイレから出たらさっきの人が居なくなってて、ほっとした……のに。
「あ、偶然」
「きゃっ!!」
乗車の列に並んだら、後ろから声を掛けられて、びくっとする。
「あのっ」
「ほら、電車来たよ?乗ろう」
「あ」
やって来た電車に、人の波に紛れて一緒に乗せられた。

