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MILK&honey
第11章 「彼っ、が居るので、困りますっ!」

*
「お待たせ!ごめんっ、遅くなって!」
「……か……っ……」
電車を降りたところで、かーさんと連絡が付いた。
迎えに来てくれるから、そこで待っててって言われて、そんなに待たないうちに来てくれた。
走ってって、抱き付く。
かーさんがぎゅってしてくれて、さっきの人に触られて気持ち悪かったのが、消えていく。
「……大丈夫?」
「うん……ごめんなさいっ……」
ごめんなさい。お仕事だったのに、呼び出して。
汗かいてるし、息もちょっと荒い。すごく急いで来てくれたんだ。
「今、そいつは?近くに居る?」
聞かれて、周りをそっと見てみた。
「……見えるとこには、居ないみたい……」
居ないみたいだけど、もし居ても、もう平気だ。だって、かーさんが居るから。
「このまま帰るのも、危ないかな……とりあえず、しばらく時間潰すか。お腹、空いてるよな」
「うん!」
「よし、笑ったな!」
かーさんがほっとしたみたいに笑って、頭を撫でてくれた。私、そんなにこわばった顔してたんだ……恥ずかしい。
「行こっか!」
「ん!」
差し出してくれた手を、なんでもない様に握る。どきどきしたりびっくりしたりしたら、引っ込められちゃうかもしれないから。
かーさんと私は手を繋いで、駅から外に出て行った。

