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MILK&honey
第11章 「彼っ、が居るので、困りますっ!」

去年の秋、かーさんが、おいしい!ってご飯食べてくれて。
それで、そういう風に、おいしい!って誰かが笑ってくれる仕事がしたいなって思って。
そこが自分の居場所になったら良いなって、思ったんだと、思ってた……。
でも、待って。
いつか、たくさんの人においしいご飯を作れたとして、みんな喜んでくれて、そのたくさんの中に、かーさんが居なかったら……
どうしよう、嬉しくない……泣きたくなる……。
じゃあ、
お兄ちゃん、ヒメ、お父さん……いろんな人を思い浮かべてみる。
けど、かーさんが居なかったら…………
「……あのっ……ごめんなさいっ……」
さっきまで、ただ断らなきゃって思ってて、嫌だとか駄目だとか困るとかしか、思ってなかったのに。
「私、どんなに待ってもらっても、他の人じゃ駄目みたいで……」
ごめんなさい。
断る言い訳とかじゃなくて、だめみたいなんです。
かーさんが彼氏でも、彼氏じゃなくても、構わないんです。
今も、いつかこの先も、一緒にご飯が食べたいんです。
「ほんとに、わがままなんですけど」
急に、気がついちゃったんです。
自分がすごくわがままで、勝手な人間だって。
だから。でも。
「……ごめんなさいっ……」
「……分かった。」
膝の上で両手を握って俯いてたら、溜め息が降って来た。

