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第12章 結婚したら良いんじゃね！？

「っそうだよっ！……だって、売れなくなったら貧乏になって生活に困っちゃうかもしれないじゃない！」

　訝る巧に、るりちゃんは言い切った。

　いつ売れなくなるか分からねー兄貴の為に、自分は安定した仕事に就いて、いざとなったら兄貴を支えてやりてーってか。
　健気だ、るりちゃん……でも。

「……お前、そこまで……でも……」

　るりちゃんを見詰めた巧は、また溜め息を吐く。
　……うん。分かる。「でも」だよな。
　けど、巧は「でも」の先を続けるんじゃなく、別の事をるりちゃんに問い掛けた。

「……それは、僕が稼げなくならなくてもか？」
「え？」
「例えば、僕が父さんの跡を継いで、お前に経済的に頼らないといけなくなる可能性がほとんど無くなったとしよう。それでもお前はその仕事がしたいのか？」
「うん。」

　るりちゃんの答えは、ほぼ即答だった。

「うん。自分に出来るやりたい事で、人の役に立てる仕事だと思うから。」
「なら、父さんとあの人を説得する必要が有るぞ」

　父さんと、「あの人」。
　それって……義理の、お母さんか。

「……うん……」

　さっき力強く頷いて夢を語ったるりちゃんは、今度はしゅんと俯いた。