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借金のカタに妻を差し出しました
第1章 借金
瑞樹は覚悟を決める時間を少し取って、通話ボタンを押した。

「はい、平河です。」

「もしもし、矢那です。」

同時に言葉が返ってきて、瑞樹は困惑した。

それは矢那も同じで、次の言葉を発するまで少し擁した。

「あの、終わったと連絡をもらって電話しました。少し、私からもあります。いいですか?」

瑞樹は、「はい」とだけ返事をしたので、矢那は続きを始めた。

「あの条件はどうでしたか?こちらから、一方的に決めて君達の意見を聞いてませんが、何かありますか?」

「いえ、とてもありがたい条件で主人も感謝しています。」

「でも、もう1つ条件があります。」

「・・・はい。」

瑞樹も、昨日から、うすうすは感じていることであり、結婚生活を継続出来るのであれば、夫が反対しても覚悟はしていた。

「じゃあ、和明さんに代わって貰えますか。」

瑞樹は矢那が出す条件を、考えながら和明にスマホを渡した。

「はい、もしもしお電話代わりました。」

「先程の条件は如何だったでしょうか?何かあれば検討しますので、何でもおっしゃって下さい。」

「いえ、特にはありません。正直いって充分過ぎる条件でした。」

「そうですか、あの条件で進める方向で行きます。それと、もう一つ条件があります。よろしいですか。」

「・・・はい、条件をおっしゃって下さい。」

「誠に失礼な条件ですが、瑞樹さんを、24時間私に貸して頂けませんか。24時間私の自由にさせて欲しいのです。男なら意味は判ると思います。あと私以外の男と会わせる事は、ありません。24時間後にはキチンとお返しします。これが、もう一つの条件です。」

24時間だけの内容に和明は少し安心した。

「はい、内容はわかりました。」

「では、今の条件を瑞樹さんに和明さんから伝えて下さい。その上で、ご夫婦で話し合って結論を出して下さい。返事は明日以降、今週までに連絡を下さい。」

「はい、判りました。」

「それでは、良い返事をまっています。」
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