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少女は愛を歌う
第1章 はじまり
『ゲホッゲホッ、あ、帰らないと、』

聖羅は後始末をして、プリントを鞄にしまい教室を出た。

校門には、一台の車が止まっていた。

「聖羅?」

『兄様…』

そこには、聖羅の兄の恭弥がいた。

恭弥「遅いから心配して来ちゃったぞ。大丈夫か?怪我でもしたのか?」

『ううん、忘れ物取りに行ってたら遅くなっちゃた』

恭弥「そうか、お前が無事で俺は嬉しいよ。じゃあ帰るか」

『うん、ありがとう』


家に帰ると母が飛び出して来た。

母「あー聖羅!お母さん心配して夕飯食べれなかったのよ!大丈夫?怪我ない?」

母も兄も過保護だ。

『大丈夫よ。母様。心配かけてごめんなさい』

母「よかったわぁ、おかえりなさい!」

『先にお風呂入るね』


チャポンっ

『……(何であんなこと…)』


聖羅は今日の出来事を思い出していた。

『何が…目的なんだろう』


ガラガラガラ


恭弥「聖羅♪」

『兄様?』

恭弥「背中洗ってあげる!」

『ありがとう』

恭弥が側に来ると、恭弥のモノが目に入り顔が火照ってくる。

まじまじと男のソレを見ることはなかった。

恭弥「聖羅?」

『あ、いや何でもないよ!』

恭弥がゴシゴシと背中を洗ってくれる。

恭弥「聖羅…また痩せたか?食べないと力出ないぞ!」

『うん、頑張る』

恭弥「しかし大人になったな」

『そうかな?』

恭弥「綺麗だよ聖羅」

一瞬、兄の目が冷たくなった気がした。

しかし、一瞬で元の兄に戻り、

恭弥「じゃあ10数えて出よーな」

『うん』


聖羅は先に上がり、兄がお風呂場に残ると、


恭弥「本当に綺麗だ。聖羅」


と呟いていていたことは知らなかった。
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