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家に桜の木が有るんだけど花見しないかと彼女を誘ってみた話
第4章 桜の下の幽霊

「大変、失礼なんですが……こんなもん、詞じゃありませんよ。イメージ単語の羅列です」
「……そう……ですか?」

 僕の言葉に、彼女はきっと眦を釣り上げた。

「桜!春!卒業!制服!!……これだけで何しようってんですか?!それが聞く人の心を動かす所まで行ってこその歌でしょう?!」
「ごもっともです……」
「良いですか?あなたのイメージを膨らませる為に、わざわざこれ着てあげてんですよ!?」

 仏頂面で、くるっと回って見せてくれる。
 由緒正しい、セーラー襟の制服。
 初めて会った時と同じように見えるけど、よく見るとかなり着込まれているのに気付く。
 彼女は、この春卒業する。この姿とも、お別れだ。
 そんな切なさとか感慨とかを、桜、春、卒業、制服という単語を散りばめて詞を創る……いかにも、スタンダードな春の曲になりそう……なのに。

「……すみません……絞り出しても、出て来ません……」

 彼女がその制服を脱ぎ捨てて大人になる時、傍らには誰が居るんだろう……なんていうのは浮かんでも、歌詞に出来ない。口にすら出来ない。
 言ってみたが最後、引っ叩かれて罵られ、二度と会って貰えないだろう。

「あなた、ほんっとに……壊滅的に情緒が涸れ果ててんですねえ……」
「しみじみ言わないで下さいよ……だから、お願いしてるんですって」

 偶然出会った詩に惚れて、書いた人間を探し出し、出されたあらゆる条件を呑んで、教えを乞うていると言うのに。
 全く進歩しないばかりか、いつも散々にこき下ろされる……これも彼女には言えないが、自分は密かにそれを楽しんでいる、様な気もする。
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