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第1章 囚われたカップル

「そうか、ないか。じゃあ、君たちは童貞に処女ってことかな？」

監督はニヤニヤしながら聞いてきた。さっきまでと少し雰囲気が違う。

僕も男だから、正直セックスにはすごく興味はあったが、まだ経験はなかった。いつかは穂香ちゃんと……と思っている。でもそれは、誰かに聞かれて話すようなことじゃない。

「なんでそんなことに僕たちが答えなければいけないんですか！」

「童貞と処女なら、二人の初体験を撮影して物語にすればいいと思ってさあ。二人ともきれいでかわいいし、これ絶対売れるよ」

僕は、少しむっとしながら、

「からかわないでください。そんなのできるわけないでしょう」

「そうかなあ。絶対売れると思うけどな。ねえ、令奈ちゃん」

監督は、助けを求めるように令奈さんのほうを見た。

「そうですね。私も売れると思います」

「令奈さんまで何を言ってるんですか。お願いしますから、ちゃんとドラマのことを話してくださいよ」

「ドラマ？　違うわよ大輔くん。私たちが撮るのはアダルトビデオよ」

「えっ、アダルトビデオ……」

「そうよ、言わなかったけ。ごめんね」

令奈さんは、悪びれた様子もなくニコッと微笑んだ。