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るりいろ(MILK &honey後日談)
第3章 分かりたい
「るりのこと危ねー目に遭わすなんて……あんなもん、さっさと売っときゃ良かった……」
「……ありゃあ、高校ん時から乗ってる相棒だろ?あんなもんなんて言うな」
嘆く俺を、朔が慰める。
……そっか。朔は、俺が学校の近くまであいつに乗って来ちまって、見つかる度に怒られてたのを、知ってんだよな。
「……でも……」
「お前、好きでバイクに乗ってんだろ?楽しくねぇのか?」
「そりゃあ好きだし、楽しいよ?楽しくなけりゃ乗らねーし、今なんかほとんど乗れなくなっちまってんのに、わざわざ金掛けて維持してねーし!」
「るりちゃんも、お前と同じなんじゃねぇのか?」
「う……」
分かってる。
分かってんだよ、頭では。
でも、これからるりが痛い目に遭うかもって思っただけで、苦しくなる。
「心配ってなら、妃愛乃も同じだ」
黙ってる俺を見て、朔がぼやいた。
「わざわざマニュアル取らねぇで、オートマ取れって言ったんだけどな」
「……へっ?でも、朔の車は、マニュアルだよね?」
「ああ。だが、オートマで取っても必要な時に地下のカーシェアで借りりゃあ良いし、なんなら買やぁ済む事だ。けど、聞かねぇんだよなあ。俺と同じ事をして、どんなもんだか分かりたいんだと」
「でも……」
「結果的にゃあ、仮免一回卒検二回落ちてるからな……それ以外も、判を押して貰えねぇ日も有ったらしいし」
「へっ?!」
朔の眉間に、恐ろしいレベルの皺が寄った。
「考えてもみろ。二輪も取ってたるりちゃんと、修了がほぼ同時だぞ」
「わざわざ待ってくれてそうなったんじゃないってこと?!」
「違ぇよ。坂道で逆送したり、それで焦り過ぎてギアか入らねぇで連続エンストしたり、路上で挙動不審な車になって停めて席変われって言われたり、安全の為にブレーキ掛けられたり」
「えええ?!」
姫ちゃん、命知らず過ぎねーか?!やってる事ぁ違うけど、俺並みに四輪に向かねーレベルだよ?!
……姫ちゃんにというより、乗り合わせた教官に同情すらぁね……。
これからは、それを朔が止めんのか……。