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るりいろ(MILK &honey後日談)
第3章 分かりたい
「形は違っても、相手が興味の有る事や好きな事を分かりてぇと思う気持ちは、同じなんじゃねぇのか。……お前最近、料理作ったりしてんだよな?」
「うん……」
まだ全然、料理ってほどの形にゃなってねーけどねw
ちょっとでもご飯作れたら良いなと思って、時々るりに教わっている。元々道具扱いが不器用なんで、失敗したり怪我したりはしょっちゅうだ。指切っちゃったりもしてるから、「ヒカリさんが楽器弾かない人で本当に良かった」って、溜め息吐かれちゃったりもしてんだよな……。
「それだって、同じ様なもんだろ。もしるりちゃんが料理しない子だったら、お前、料理しようなんて思ったか?」
「思わねー、かも……」
こっちに目を向けていた朔は、パソコンに向き直るとこっちを見ないで呟いた。
「お前ら、そういう所はなんとなく似てんだよな。話しゃあ終わる事にまで気を回し過ぎて避けちまって、結果拗れる」
「あー……」
受験の時に、るりが誤解して一度家を出てった事を言ってんだろう。
あん時も、朔と姫ちゃんに……ってか、主に姫ちゃんに、お世話んなった。
「ありがと。いつも、ごめんな。……どういう形になるか分かんねーけど、るりと、ちゃんと話すわ」
「そうしてくれ。妃愛乃がるりちゃんの事でイライラしたり泣いたり拗ねたりすると、俺にとばっちりが来るんだぞ」
朔はわざとらしいほど不機嫌そうにそう言った。
他の人間が戻って来た事も有って、話はそこでおしまいになった。
るりと、話さなきゃ。
情けねぇけど、俺にゃあどーんと構えて大らかにるりの事を見守るなんて事ぁ、多分出来ねー。
るりがなんかする度に、はらはらしたり卒倒しそうになったり心臓止まりそうになったりし続けるだろう。
そんな自分と、るりの気持ちの両方がなるべく上手く行く落とし所を見付けたい。だって、俺は、これからもずっとるりと一緒に居てーんだもん……るりの方はどうだか、分かんねーけど。
そろそろ、るりの不調も、落ち着いてる頃だろう。
休憩時間が終わる前に、今日は早めにお土産買って帰るって、るりにメッセを送っておいた。