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兄貴の彼女/彼の弟(MILK&honey 後日談)
第1章 兄貴の彼女

   *

「……んで、大学進学してーんだよな?」


 夕飯が終わって。
 俺ら兄弟はリビングのソファで、俺の訪問の目的である進路相談をすることにした。
 るりさんは、片付けをして先にお風呂に入ると言って、俺らを二人きりにしてくれた。
 ……いい人だな。可愛くて、料理上手で、気が利いて、控え目で……や、るりさんの事を考えんのは止めよう。ヤバい気がする。


「うん。同じ仕事に就けんなら、専門でも良んだけど」

「行けんなら、大学行っとけ。金は出すから……後から行きたくなっても、難しいだろ」

「そりゃ、まあ……」

「すみません、お風呂先に頂きました」

 のんびりした柔らかい、でも少し遠慮がちな声。
 俺と兄貴が、振り向くと。
 
「っ!?」

「るりっ!?」

「……え?」

 きょとんとしている湯上がりのるりさんは、ふわふわした淡いオレンジ色のワンピースを着ていた。 パーカーの形で両方にポケットが着いていて、首元から裾までは、長いファスナーが付いている。
 俺の前に出て来る位なんだから、パジャマじゃなくて部屋着……なんだろうけど。
 このファスナーの下って、どうなってるんだろう……。

 髪をくるりとお団子の様に上げて、ワンピースとお揃いの髪飾りで留めている。襟足の後れ毛が、色っぽい。髪からか、肌からか、柑橘系と花の混じった様な、甘い良い匂いが漂って来る。

「なぁに?……どっか、へん?」

 俺らが無言で見詰めてるからか、るりさんは戸惑った様に眉をへの字にして兄貴を見た。

「うーうん、なんでもねー!」

「……ほんと?」

「ほんとだって!変じゃねーよ、すっごく可愛い!……また明日な。お休み、るり……ちゃん。」

「うん。……お休みなさい、光さん、勇くん」

 るりさんは、ほっとした様にほわんと笑って、俺らに手を振ってお辞儀した。
 
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