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復讐の味は甘い果実に似て
第2章 セリヌンティウスへの宣告
 話を聞きつけて、野次馬の学生や院生たちが遠巻きに僕を見始めた。
 ただでさえ女性の少ない情報工学部の研究棟で、こういう話をすること自体がまずい。
 もしかしたら、このリーダーらしき女の子はそういうことも計算に入れてのことかもしれないが。

「とにかく、ここでは何ですから、場所を変えて話しませんか?」
 女の子の提案は案の定だった。
 このリーダーの女の子は、すでに自分で想定した段取りがあるのだろう。
 仕方なく、僕は女の子たちについていくことにした。


 僕が連れてこられたのは、いかにも女の子受けしそうな内装のカフェだった。
 もともとの女性不信もあってか、僕自身はこういうところにはまず行かないため、正直、かなりアウェイ感がある。
 通された2階の個室席には、恵梨が俯いて座っていた。
 やはり最初からこういうつもりだったのか、と僕は大きくため息をついたが、もう一気にケリをつけてしまおうと思い直すことにした。

 
 僕を自分の向かいに座らせると、改めて、お忙しいところをお呼び立てして申し訳ありません、とリーダーの女の子が頭を下げた。
 そして、サークルの部長の平河明日香と申します、と僕に挨拶してきた。
 改めて見ると、整った顔をしているけれども、雰囲気からして気の強そうな感じがある。
 続けて、他の女の子たちも挨拶してきたが、僕には正直、3人の名前などどうでもいい。

 ポニーテールが天本ひかる、ボブが伊野香織ね。あー、はい、はい、と僕は心の中で彼女たちの挨拶を受け流していた。

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