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復讐の味は甘い果実に似て
第1章 終わりと始まり
 結局、僕と恵梨は近くのバーで、お互いが泥酔するまで飲み続けた。
 僕が正気に戻ったのは翌日、自分のアパートのベッドで目を覚まして、恵梨が僕の傍らで寝息を立てていた時だ。

 僕はそのまま、平謝りしながら、寝ぼけまなこの恵梨に告白した。
 何というか、順番が逆になってしまって申し訳ないが、僕と付き合ってください。
 僕のぎこちない告白に、恵梨は恥ずかしそうにしながら、毛布で顔を半分隠したままで、いいですよ、と僕に笑いかけてくれた。

 恵梨は同じ大学の文学部の2年生で、客観的に見ても、間違いなく可愛いと言われる部類には入っていたと思う。女優の誰それに似ている、という話も聞いたが、そもそもそんな子が、なぜ僕みたいな男に興味を示したのがよくわからなかった。
 実際、僕が彼女から聞いて把握しているだけでも、学内・学外を問わず言い寄ってきた男の話は両手では数えきれない。僕の精神衛生上、さらによろしくないのは彼女がテニスサークルなどというものに入っていて、言い寄る男どもにとっては非常に好ましい環境にいることだった。

 恵梨からはテニスサークルをそういう目で見るのは偏見だ、という抗議を何回か受けたことがあるが、デビスカップもウィンブルドンもまるで興味がわかない自分のような人間にとっては、まあ仕方のないことだと思うのだ。

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