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復讐の味は甘い果実に似て
第2章 セリヌンティウスへの宣告
 僕は、目の前のあらゆるものが不快に思えてきた。

 ぐずぐずと際限なく泣いている恵梨も。
 僕のことをまるで加害者であるかのような目で見てくるテーブルの向こうの女どもも。
 この店の内装も、酸味がきつくてローストが足りないコーヒーも。
 何もかもが僕をイラつかせた。

 次第に僕の心に、復讐というどす黒い感情が渦巻いてきた。
 僕を裏切り、僕の目の前で薄汚い行為に興じた恵梨。
 そして、恵梨に味方して僕を冷血漢のごとく攻め立ててくるこの不快極まりない女ども、明日香、ひかる、香織をまとめて地獄に叩き落としてやりたい。


 そして、僕の頭に悪魔のような復讐のアイデアが浮かんできた。
 こんなのまともな人間のやることじゃない、という呵責はあったものの、もう僕は復讐という黒い誘惑に抗うことができなかった。

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