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復讐の味は甘い果実に似て
第2章 セリヌンティウスへの宣告
「僕は聞きたくない、あなたたちは聞けという。平行線ですね。もうこれ以上、議論しても仕方ないでしょう。どうしても、あなたたちが僕に恵梨の話を聞かせたいというなら、僕とひとつ、賭けをしませんか?」
「……賭け、ですか?」
 僕の誘いに、怪訝な顔で明日香が聞いてくる。

「そうです。もし、これからあなたたちのする話に嘘がなければ、あなたたちの勝ちです。ですが、あなたたちの話に一つでも嘘が含まれていれば、僕の勝ちです。もし、あなたたちが勝ったら、僕は、あなたたちの言うことに従いますよ。」
「……では、恵梨とやり直していただけますか?」
「あなたたちが賭けに勝ったうえで、僕にそうしろと望むなら。」
 僕は明日香の要望に冷静に答える。

「もし、わたしたちが負けた場合はどうなるのですか?」
 少し間をおいて、明日香が僕に聞いてくる。
 そうだ、それこそが僕のやりたいことだ。

「僕は、恵梨に復讐しようと思います。そして、あなたたちには、僕の復讐の道具になってもらいます。」
「……復讐の道具?」
 いぶかしげに明日香がつぶやいた。

 まあ、こんな言い方じゃわからないだろうな。
 だが、この、いかにも気の強そうな明日香という女が、「道具」の意味がわかった時に、平静でいられるかどうかは見ものだが。

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