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復讐の味は甘い果実に似て
第2章 セリヌンティウスへの宣告
「僕は自分が恵梨にやられたことをそのままやり返します。要するに、恵梨の目の前で僕が別の女性とセックスする、ということです。復讐というのはそういう意味です。」
 僕の言葉に、目の前の女どもの顔色が変わった。
「じゃあ、復讐の「道具」っていうのはもしかして……」
 明日香の眉が驚愕で大きく吊り上がった。
 やはり、この明日香という女は、勘がいい。

「……そういうことです。あなたたちには恵梨の目の前で僕とセックスしてもらいます。」
 僕の言葉で完全に場が凍り付いた。

「この賭けにあなたたちが乗るなら、僕は一言一句、真摯に、あなたたちの話を聞くことにします。ですが、乗れないというなら、この話はここまでです。どうしますか?」
 テーブルの向こうの女どもは完全に沈黙してしまい、僕の問いかけにも反応がない。
 正直、長居もしたくないので、僕は結論を促すことにした。

「言うなれば、僕は『走れメロス』に出てくる暴虐な王様で、恵梨はメロスです。僕は、今、恵梨の弁明も聞かずに、一方的に断罪しようとしている。あなたたちは正直者の恵梨の身代わりになって、セリヌンティウスのように、処刑台にあがる覚悟がありますか?」
 『走れメロス』を例えに使ってはみたが、僕は、あの話が大嫌いだった。
 無二の友人を自分の代わりに処刑台に立てようなんて発想がよくできるよな、と思う。

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