この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
復讐の味は甘い果実に似て
第9章 さよならという儀式 ~ひかるの告白~
翌朝、階段を降りてくる音がして、あたしは目を覚ました。
まだ、6時前だけど、部屋から降りてきた先輩は、もう、完全に帰り支度を整えていて、このまま帰るつもりらしかった。
先輩の姿を見て、慌てて浴衣を整えたあたしを、先輩が押しとどめる。
そのまま寝ていていいよ、ということのようだ。
あたしは、少しだけ先輩に待ってもらって、浴衣の上に丹前を羽織ると、先輩と一緒に、コテージの外へ出た。
「書置きを残して帰るつもりだったんだけど、君の口から、平河さんや恵梨に僕が先に帰ることを伝えてくれないか。それと……ありがとう、と。」
「……あの、みんなと一緒に帰らないんですか?」
「うん、せっかく君や平河さんがお膳立てしてくれて、きちんとお別れできたから、もう、恵梨に未練を残したくないんだ。」
先輩があたしを見ながら言った。
儀式が終わった以上、もう、恵梨とのことは、過去の傷として受け止めるということなのだろう。少なくとも、そういう覚悟が出来たことは、先輩にとっての前進だと、あたしは思った。
「君や平河さんに言うべきなのは、いろいろと申し訳なかった、か、ありがとう、なのか、よくわからないけれど、僕はありがとう、だと思ってる。だから……ありがとう。」
そういうと、先輩はあたしを抱きしめて、耳元で感謝を告げた。
あたしは先輩の言葉にどう返せばいいのかが、わからなかった。
結局、あたしは何も言えないまま、先輩の腕のなかで立ちすくんでいた。
まだ、6時前だけど、部屋から降りてきた先輩は、もう、完全に帰り支度を整えていて、このまま帰るつもりらしかった。
先輩の姿を見て、慌てて浴衣を整えたあたしを、先輩が押しとどめる。
そのまま寝ていていいよ、ということのようだ。
あたしは、少しだけ先輩に待ってもらって、浴衣の上に丹前を羽織ると、先輩と一緒に、コテージの外へ出た。
「書置きを残して帰るつもりだったんだけど、君の口から、平河さんや恵梨に僕が先に帰ることを伝えてくれないか。それと……ありがとう、と。」
「……あの、みんなと一緒に帰らないんですか?」
「うん、せっかく君や平河さんがお膳立てしてくれて、きちんとお別れできたから、もう、恵梨に未練を残したくないんだ。」
先輩があたしを見ながら言った。
儀式が終わった以上、もう、恵梨とのことは、過去の傷として受け止めるということなのだろう。少なくとも、そういう覚悟が出来たことは、先輩にとっての前進だと、あたしは思った。
「君や平河さんに言うべきなのは、いろいろと申し訳なかった、か、ありがとう、なのか、よくわからないけれど、僕はありがとう、だと思ってる。だから……ありがとう。」
そういうと、先輩はあたしを抱きしめて、耳元で感謝を告げた。
あたしは先輩の言葉にどう返せばいいのかが、わからなかった。
結局、あたしは何も言えないまま、先輩の腕のなかで立ちすくんでいた。