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復讐の味は甘い果実に似て
第2章 セリヌンティウスへの宣告
「さて、平河さんと天本さんだったっけ? 君たちはどうするの? このまま黙りこくっていても時間の無駄だし、僕としては、そろそろ研究室に戻りたいんだけどね。」
 僕はシクシクと泣きじゃくるだけの恵梨を無視して、残った二人に声をかけた。

「……急に口調が変わりましたね。そういう口調があなたの地ですか?」
「別に大した意味はない。こんな悪魔みたいな提案をしておいて、今さら丁寧な口調で話すのもおかしいなと思っただけだ。さ、くだらないことを聞いてないで、さっさと答えてもらおう。賭けに乗るのか、降りるのか?」

「その前に、聞かせてください。わたしたちが賭けに負けたら、新田さんは、わたしたちにどういうセックスをするつもりなんですか? 具体的には?」
 明日香が妙に突っ込んだ質問をしてきた。
 正直、そこまでは考えていなかった。
 だが、単にセックスを見せたとして、恵梨に、どれほどの精神的ダメージを与えることができるのだろうか。
 恵梨とはしていないような激しいセックスを見せれば、恵梨が嫉妬に狂うだろうか?
 それほど単純ではないような気がする。
 とりあえず明確には回答しないことにした。

「恵梨がやめてくれ、と懇願するようなことをする。だが、詳細は未定だ。」
「危険なことはないんですか? 変なドラッグを使うとか、写真を撮るとか。」
 ああ、心配しているのはそういうところか、と合点がいった。
「そういうことは、君たち自身がされて嫌なことで、彼女が嫌がることじゃない。僕が復讐するのは水瀬恵梨本人に対してだ。彼女に対して効果のないことはしない。」
「……わかりました。」
 明日香は重苦しい顔で頷いた。

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