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復讐の味は甘い果実に似て
第2章 セリヌンティウスへの宣告
 5分ほどそうして座っていただろうか。
 僕はすべてを恵梨に委ねる気持で、テーブルにもどった

「さて、結論を聞かせてもらおうか。賭けに乗るか、降りるか。」
「……乗ります。わたしはサークルの部長として、恵梨の言うことを信じます。」
 迷いを断ち切るような強い口調で、明日香が僕に告げた。
 
 ああ、これで何もかも終わってしまった、と思った。
 だが、僕は心の中の落胆を隠して言葉を続ける。
「賭けに乗る、ということは僕の傷口を抉りこんででも、恵梨の弁明をするということだ。その意味はわかってるのか?」
「はい、それでも、あえて聞いていただくべきだと思います。」

「僕が君たちの説明の嘘を証明したら、賭けは君たちの負けだ。その場合、僕は本当に恵梨に復讐をする。君たちを道具に使って。」
「……はい。」
 明日香は小さく答えた。

「じゃあ、これが最終確認だ。本当にいいんだな?」
 僕の最後通告に、ひかるは俯いた恵梨の顔を覗き込んで、大丈夫だよね、と聞いた。
 恵梨は明日香ともひかるとも顔を合わさず、俯いたまま頷く。

 結局、僕が恵梨に話させるためにしたあらゆる努力は空しく時間を浪費しただけだった。

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