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復讐の味は甘い果実に似て
第5章 表と裏 ~明日香の告白~
浩二は少しばかり憔悴した顔をしていたが、わたしを見つけると片手をあげ、あまり力のない微笑みを向けて近づいてきた。
一体、わたしは浩二にどう挨拶すればいいんだろう。
なにも浮かんでこない。
狼狽して固まったままのわたしの前に浩二が立った。
「遅かった……な。」
長い沈黙のあとで、浩二の口から発せられたのは、実にどうでもいい言葉だった。
「ごめん、電車で寝過ごしちゃって……」
「メシは?」
「うん、食べてきたよ。」
「……明日香の部屋、上がっていっていいか?」
「……うん。」
わたしは部屋の中に浩二を迎え入れたが、浩二はテーブルの前に座ると、黙りこくったまま動かなくなってしまった。
浩二の気持ちは痛いほどわかる。
昨日の夜、わたしのしていたことを確認するのが恐いのだ。
だから、わたしから急かすようなことはしたくない。
わたしは風呂場でストッキングだけ脱ぐと、浩二にお茶をいれようと、キッチンの電気ポットのスイッチを入れた。
一体、わたしは浩二にどう挨拶すればいいんだろう。
なにも浮かんでこない。
狼狽して固まったままのわたしの前に浩二が立った。
「遅かった……な。」
長い沈黙のあとで、浩二の口から発せられたのは、実にどうでもいい言葉だった。
「ごめん、電車で寝過ごしちゃって……」
「メシは?」
「うん、食べてきたよ。」
「……明日香の部屋、上がっていっていいか?」
「……うん。」
わたしは部屋の中に浩二を迎え入れたが、浩二はテーブルの前に座ると、黙りこくったまま動かなくなってしまった。
浩二の気持ちは痛いほどわかる。
昨日の夜、わたしのしていたことを確認するのが恐いのだ。
だから、わたしから急かすようなことはしたくない。
わたしは風呂場でストッキングだけ脱ぐと、浩二にお茶をいれようと、キッチンの電気ポットのスイッチを入れた。