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復讐の味は甘い果実に似て
第5章 表と裏 ~明日香の告白~
多分、私と浩二はコインの表と裏のようなものなんだろう。
少なくとも、昨日のわたしは恵梨がこの上なく大事にしている先輩を奪うことに嗜虐的な興奮を覚えていた。
そして、昨日の浩二は、わたしが先輩に奪われることに被虐的な興奮を感じていた。
そこには、わたしたち自身が考えているほど、大きな隔たりはないのかもしれない。
もし、昨日の夜、いつものように二人で夜を過ごしていたなら、わたしたちは自分たちの隠れた性癖にずっと気づきもしなかっただろう。
昨日、運命という名の裁定者が気まぐれに投げたコインの表がわたしになり、裏が浩二になったというだけのことだ。
だから、わたしは浩二の全てを受け入れる。
コインというものが、決して片面だけでは存在しえないように。
「やっぱり最悪だよなあ。寝取られとか脚フェチとか、なんか変態じみてるし。」
わたしのとなりで、また、浩二がへこんで俯いた。
「……変態でいいじゃん。あたしも多分、変態だし。」
わたしはうつむいたままの浩二を抱きしめて、耳元で囁くように言った。
「本当はね、昨日の夜のこと、浩二に話したくて仕方ないの。それで、浩二を、もっと興奮させてあげたい。いっぱい射精させてあげたい。今、わたし、そんなこと考えてるんだよ。」
わたしの言葉に、浩二が驚いた顔をしてわたしを見た。
「嫌いにならないのか? こんな変な男。」
「……わたしは浩二がいい。ううん、浩二じゃなきゃ、いやだ。」
わたしがそういうと、浩二はわたしを強く抱いて、長い長いキスをしてきた。
多分、それはわたしにとって浩二から受けた一番長いキスで、一番うれしいキスだった。
少なくとも、昨日のわたしは恵梨がこの上なく大事にしている先輩を奪うことに嗜虐的な興奮を覚えていた。
そして、昨日の浩二は、わたしが先輩に奪われることに被虐的な興奮を感じていた。
そこには、わたしたち自身が考えているほど、大きな隔たりはないのかもしれない。
もし、昨日の夜、いつものように二人で夜を過ごしていたなら、わたしたちは自分たちの隠れた性癖にずっと気づきもしなかっただろう。
昨日、運命という名の裁定者が気まぐれに投げたコインの表がわたしになり、裏が浩二になったというだけのことだ。
だから、わたしは浩二の全てを受け入れる。
コインというものが、決して片面だけでは存在しえないように。
「やっぱり最悪だよなあ。寝取られとか脚フェチとか、なんか変態じみてるし。」
わたしのとなりで、また、浩二がへこんで俯いた。
「……変態でいいじゃん。あたしも多分、変態だし。」
わたしはうつむいたままの浩二を抱きしめて、耳元で囁くように言った。
「本当はね、昨日の夜のこと、浩二に話したくて仕方ないの。それで、浩二を、もっと興奮させてあげたい。いっぱい射精させてあげたい。今、わたし、そんなこと考えてるんだよ。」
わたしの言葉に、浩二が驚いた顔をしてわたしを見た。
「嫌いにならないのか? こんな変な男。」
「……わたしは浩二がいい。ううん、浩二じゃなきゃ、いやだ。」
わたしがそういうと、浩二はわたしを強く抱いて、長い長いキスをしてきた。
多分、それはわたしにとって浩二から受けた一番長いキスで、一番うれしいキスだった。