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第26章 夜のデート…練習

「へー。教えてくれないんだ？」


いつの間にかどこかの駐車場に車を停めていて、私の方へ向いている課長が助手席側の窓に手をついてるから、すごい近いところに課長の顔があって…息、苦しいーー…！！


「言わないと…後悔するよ？」

そう言う課長は普段の包容力たっぷりの大人の余裕なんて一切感じられなくて、本当に本当の彼氏みたいに思っちゃいそうだから、やめてほしい。


私はーー…。

課長の好きな人でもなければーー…。

ーー…彼女でもないのに。


課長の言う後悔が何か知りたい。



「彩華……。」

低めの優しい声で名前を呼ばれ、胸が高鳴る。
錯覚するから、やめてーー…。

さらに課長が近づく。

私はぎゅーっと目を閉じた。


キス…される？
ーー…したい。


だけど、期待していたソレは続くことなく。

近くで感じていた温もりとか息遣いとかが離れていく。


「ごめん。冗談。」

そう呟きながら完全に距離が離れたのが淋しくて思わず課長を見つめてしまった。


「…彩華、その顔は反則。」

どんな顔してるかなんて自分じゃわからない。


「この前のこと本当に反省してる。手出していい関係なんかじゃないんだよ。けど…俺も男だしね、そんな顔されたら、我慢できなくなるんだけど。」