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スパダリ課長とチート主人公な私の話。
第53章 帰省
実家の目の前より少し離れたところで降ろしてもらうことにした。

「送ってくれてありがとうございました」

「俺がそうしたかっただけだからね。ゆっくりしておいで」

「はい」

そう言うと助手席の方へ近づいてくるから、目を閉じた。
そのままキスされるであろうというとき……コンコンと窓を叩かれる音がした。びっくりしてそっちを振り返ると。

「あ……すみません…兄と弟、です」

三人が笑顔で腕を組んで立っていた。



********


「で、貴方が彩華の彼氏? 」

「はい、彩華さんとお付き合いさせてもらってます、稲葉康之って言います」

隆兄が課長の上から下まで見ながら私の方を見た。

「母さんも父さんも心配してるから、来てもらった方がいいと思うけど」

チラっと課長を見ると"大丈夫だよ"と言うようにうなづいた。

「わかったよ…家に車置ける? 」

「まあ4台なら置けるだろ」

「行くから先に戻ってて」

三人が家の方へ戻るのを確認してから、車に乗る。
そして私は課長へ謝った。

「すみません……いきなり家に行くことになってしまって」

「大丈夫。昨日、彩華の兄弟のことは聞いてたし、こうなる予感は多少あったからね。まさか外で待たれてるとは思わなかったけど」

大人の余裕……私なら焦っちゃうだろうな。
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