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第12章 リアルでチートヒロインは恋愛が苦手

「うん、そうなんだけど、寝坊しちゃってさ。おまけに車が故障しちゃって、慌てて電車で来たんだよ。」

「災難続きだったんですね。お疲れ様です。それにしても課長でも寝坊することあるんですね。」

「眠れないほど考え事してたのは久々だけど、俺、そこまでデキたヤツじゃないからね。普通に寝坊することもあるよ。」

課長がデキたヤツじゃなければ、大抵の人はデキたヤツじゃない気がするけど。

「眠れないほど悩んでることがあるんですか？」

「まあね。気づいて欲しいことに気づいてもらえないというか…」

珍しく歯切れの悪い言い方。
最近、色んな表情の課長を見る気がする。

そんな話をしながら会社へ着くと、みんなからの視線が痛い。
女性社員の憧れの人、稲葉課長との同伴出勤をしてしまい、怖くて周りが見れない……。



「やっぱり、稲葉課長との佐倉さんってそーゆう関係だったりするんですか？最近仲良いですよね。」

「いやいや、そんなことないから。課長が私を相手にするわけないじゃない。」