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第14章 デートの練習台

「お待たせ。」


軽く片手を上げて現れた課長に今更ながら緊張してきた。
車ではないので歩いて課長おススメの店へ向かってる最中もさりげなく車道とは反対側へエスコートしてくれる。
歩幅も恐らくいつもよりはややゆっくりめだろうし。
何もかもが完璧なんだよな。
どうして彼女いないんだろう？
ホント不思議。

「佐倉さん、見過ぎだから…。」

「す、すいません…。」

「そういえば、ImpoStorのことだけど、教えてくれたっていう友達も良く知ってたね。けっこうマイナーだと思うんだけど。」

「教えてくれた友人、洋楽が好きみたいで暇さえあれば良く探してるって言ってました。」

「そうなの？俺も洋楽好きでさ、家で暇な時はよく探してるよ。昔、バンドやってたこともあるから、その時に流行りの洋楽でカッコつけてたんだよね。」

課長はそう言って笑った。
その笑い方がいつもよりは少しだけ幼く見える。
たぶん、音楽が本当に好きなんだと思う。

「ImpoStorって和訳すると“偽物” “ペテン師” “詐欺師”って意味があるんだよ。それをグループ名にするってすごいよね。彼らの動画とか見た？見るとすぐ意味がわかるよ。」