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⊥の世界
第12章 そして誰も居なくなる?
『取り壊しってなんですか?』
「まあ、何パターンかあるけど、家主が退会とか、1週間入室しないとか、特定の住人の部屋にしかいかなくて通報されるとか?」
『そんなことあるんですね。』
「まあ、多分、住人の誰かとリアで繋がっちゃって、ここが必要なくなっちゃうんだろうな。」
「それって、僕の理想の二次元の出逢いってやつじゃないですか。」
「両方独身とか両方本気ならそうだろうけど、うまくいったかどうかもわからないしな。」
『でも、そんなに取り壊しがあるなんて、怖いですね。』
「Rさんは誘われたことないのか?」
「実は一度だけあったよ。でもさ、サクラとか、おかしな商売の勧誘とか、ゆすりとかさ、やっぱり怖くなって会う話には乗らなかった。
そしたら、翌日、退会、取り壊しってさ。」
「それって、やっぱり家主がやましいことしてたんじゃない?」
「わからないだろ、Rさんに本気だったから、ショックで退会したかもしれないし。」
「いずれにせよ、本当のことはわからない。会うか会わないか、声をかけられたのは正直嬉しかったし、しばらく浮かれてた。
でも結局は嫁の顔が浮かんで断った。」
『Rさん、愛妻家なんですね。』
「いや、嫁が怒り狂う顔が浮かんだんだけどね。」
「そういや、M子、昨日は旦那が帰って来たからって、大丈夫だったのか?」
『あっ、はい、すぐに退室したので、大丈夫でした。』
嘘に嘘を上塗りする心苦しさを感じた。
「でもさ、僕以外、皆さん既婚者だけど、やっぱりここのことは、奥さんや旦那さんに知られたくないんだ。」
『そうですね。』
「そりゃ、そうだろ。無駄に使う金があるって叱られて小遣い減らされる。」
「知られたら、困るだろうけど、うちはバレることはないな。
というより、嫁は、俺に興味ないから、気付かないと思うよ。」
「Sさん、そんな悲しいこと言わないでよ。」
『そうですよ。興味ないって、、
それを言ったら、私なんて居なくなっても気付かれないかも。』
「それこそ、あり得ないでしょ?」
『本当に、そう。
だから、私、家主になったんだもの。』
「Mちゃん、ないない、大丈夫だよ。」
皆さん励ましてくれるけど、本当に、、、
『そろそろ、おやすみなさい。』