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レディー・マスケティアーズ
第11章 アトス&アラミス ――成城 木庭敦子の屋敷
「海綿清掃」のワゴンは、世田谷区特有の一方通行道路を縫うようにして、周囲でも一段と立派な造りの洋館の前に停まった。
成城台南五丁目二十四番地。ここに間違いない。
「坂上ちゃん、こちら工藤。今、木庭茂の屋敷の前だ」
工藤がヘッドセットに話しかけた。
「よし。木庭が契約している警備会社のコンピュータにハッキングした。こちらからの遠隔操作で、防犯センサーと空間センサーを一時遮断する。わかっていると思うけど、防犯センサーは外からの侵入者感知システム。空間センサーは内部に潜む人間の体温感知システムだ。一時遮断と言ったけど、長くて三分だぞ。その間に、屋敷内にあるセット解除ボックスをオフにしろ」
「わかった。セット解除ボックスは、一階玄関左手のシューズ・クローゼットの中だったよね?」
「そうだ。二十秒後に突入できるか?」
工藤は傍らのアトスに合図を送り、「できる」と坂上に答えた。
「よし、カウントダウンだ。二十、十九、十八……、五、四、三、二、一。ゴ―!」
坂上のゴーサインを聞いて、アトスと工藤は門扉を飛び越えた。門扉から玄関まで百メートル以上。二人は、その距離を全力で走り切った。
ドアの高さが三メートルほどもある玄関に辿り着くと、工藤は、昔ながらの開錠キットと最新鋭の電子開錠装置を両手で操る。一分としないうちに「パチン」と音を立ててドアが開いた。
工藤は、玄関左手にあるシューズ・クローゼット――「海綿清掃」の受付スペースより広いクローゼット――を開き、セット解除ボタンを探し当てた。口に咥えたペンライトをパネル盤に向け、スイッチをオフにする。
成城台南五丁目二十四番地。ここに間違いない。
「坂上ちゃん、こちら工藤。今、木庭茂の屋敷の前だ」
工藤がヘッドセットに話しかけた。
「よし。木庭が契約している警備会社のコンピュータにハッキングした。こちらからの遠隔操作で、防犯センサーと空間センサーを一時遮断する。わかっていると思うけど、防犯センサーは外からの侵入者感知システム。空間センサーは内部に潜む人間の体温感知システムだ。一時遮断と言ったけど、長くて三分だぞ。その間に、屋敷内にあるセット解除ボックスをオフにしろ」
「わかった。セット解除ボックスは、一階玄関左手のシューズ・クローゼットの中だったよね?」
「そうだ。二十秒後に突入できるか?」
工藤は傍らのアトスに合図を送り、「できる」と坂上に答えた。
「よし、カウントダウンだ。二十、十九、十八……、五、四、三、二、一。ゴ―!」
坂上のゴーサインを聞いて、アトスと工藤は門扉を飛び越えた。門扉から玄関まで百メートル以上。二人は、その距離を全力で走り切った。
ドアの高さが三メートルほどもある玄関に辿り着くと、工藤は、昔ながらの開錠キットと最新鋭の電子開錠装置を両手で操る。一分としないうちに「パチン」と音を立ててドアが開いた。
工藤は、玄関左手にあるシューズ・クローゼット――「海綿清掃」の受付スペースより広いクローゼット――を開き、セット解除ボタンを探し当てた。口に咥えたペンライトをパネル盤に向け、スイッチをオフにする。