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レディー・マスケティアーズ
第11章 アトス&アラミス ――成城 木庭敦子の屋敷
「ええ。わたしはアトス。だけど、正解を言ったって景品はなしよ」
「口の減らない女だね。ハルク、やっておしまい!」
敦子が命じるや、ハルクの巨体がアトスの眼前に迫る。
咄嗟に体をかわしたつもりだったが、大型ハンマーのようなパンチが、もろにみぞおちに腹に食い込んだ。あまりの痛みに、アトスの顔がゆがむ。
「うっ、ううっ」
また床に吹き飛ばされ、嫌というほど背中を打ちつけた。
その弾みで、アラミスの拷問台の前に置かれていた薬瓶が何本か、音を立てて床に転がった。
それにしても、何て馬鹿力なの。
「ああ。紹介が遅れたわね。このハルクは、何年来のわたしのボディーガードよ」
敦子の高笑いが響く。
「いえ。ボディーガード兼性処理係です」
ハルクが表情を変えずに答えた。
何とか反撃に出ようと立ち上がったが、今度はハルクのローキックに足を払われ、岩のような拳を脇腹に見舞われた。
「うっ!」
息が止まり、背骨がきりきりときしむ。
床をのたうち回るアトスの体を軽々と持ち上げると、ハルクは壁に向かって放り投げた。
ガッシャーン!
今度は、アラミスが縛られている側の壁だ。
拷問台の金属の角に嫌というほど肩を打ちつけ、息をすることもできない。
「おやおや、もう降参かい?」
大口を開けた笑う敦子の姿が、ろうそくの火に揺れて見える。
揺れて見えるのは、わたしの目が霞んでいるせいだろうか。
「アラミス!」
アトスは、額から流れる血を何とか腕でぬぐった。傍らのアラミスに声をかけても、相棒は身動き一つしない。もう息絶えてしまったのか。
「口の減らない女だね。ハルク、やっておしまい!」
敦子が命じるや、ハルクの巨体がアトスの眼前に迫る。
咄嗟に体をかわしたつもりだったが、大型ハンマーのようなパンチが、もろにみぞおちに腹に食い込んだ。あまりの痛みに、アトスの顔がゆがむ。
「うっ、ううっ」
また床に吹き飛ばされ、嫌というほど背中を打ちつけた。
その弾みで、アラミスの拷問台の前に置かれていた薬瓶が何本か、音を立てて床に転がった。
それにしても、何て馬鹿力なの。
「ああ。紹介が遅れたわね。このハルクは、何年来のわたしのボディーガードよ」
敦子の高笑いが響く。
「いえ。ボディーガード兼性処理係です」
ハルクが表情を変えずに答えた。
何とか反撃に出ようと立ち上がったが、今度はハルクのローキックに足を払われ、岩のような拳を脇腹に見舞われた。
「うっ!」
息が止まり、背骨がきりきりときしむ。
床をのたうち回るアトスの体を軽々と持ち上げると、ハルクは壁に向かって放り投げた。
ガッシャーン!
今度は、アラミスが縛られている側の壁だ。
拷問台の金属の角に嫌というほど肩を打ちつけ、息をすることもできない。
「おやおや、もう降参かい?」
大口を開けた笑う敦子の姿が、ろうそくの火に揺れて見える。
揺れて見えるのは、わたしの目が霞んでいるせいだろうか。
「アラミス!」
アトスは、額から流れる血を何とか腕でぬぐった。傍らのアラミスに声をかけても、相棒は身動き一つしない。もう息絶えてしまったのか。