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レディー・マスケティアーズ
第11章 アトス&アラミス ――成城 木庭敦子の屋敷
「チッキ!」
 韓国語らしき奇声を発しながら、アラミスは速射砲のように蹴りを連発する。汗の滴が飛び、乳房が弾み、高く足を上げるたびに、アラミスの赤い亀裂がハルクの視界を覆った。
「ハナ!」「トルゥ!」「セッ!」「ネッ!」
 前から後ろから。左から右から。身構えるより早くに浴びせられるキックの雨に耐え切れず、ハルクの巨体がどっと崩れ落ちた。
「くっ、くそっ。テコンドーか」
 痛みにかすむ目をこすり、うめき声を上げながら、それでもハルクは壁の手すりを支えに何とか立ち上がった。
「そうよ。そう来なくちゃあね」
「えっ?」
 アラミスは挑発するように、おいでおいでをする。
「立ち姿勢の相手でないと、これをお見舞いできないのよ」
「これって……」
 ハルクが次の言葉を発するより、アラミスの体がひるがえるほうが早かった。
「フェッチェ!」
 アラミスのしなやかな足が一閃し、強烈な後ろ回り蹴りがハルクの股間に炸裂した。
「ぎゃあ!」
 ハルクは悶絶し、床を転がり回った。
「食らいな!」
 アラミスは高くジャンプし、ハルクの脳天にとどめのフライング・エルボーを見舞う。
今度こそ、ハルクが動かなくなった。 
「ふん、張り合いのないやつ。図体が大きい分、スピードで勝負と思ったけど、その通りだったわね」
 アラミスは、さっきまで自分がいた拷問台にハルクの両手両足を縛り付けた。手枷と足枷で巨体を固定すると、慣れた手つきで操作ボタンを押し、「M」字開きを最大にセットした。
「あっ、あっ。股が、股が裂ける!」
 ハルクが悲鳴を上げた。
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