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レディー・マスケティアーズ
第11章 アトス&アラミス ――成城 木庭敦子の屋敷
「あんた、人生の中で学ばなかったのかい? 自分の弱点を知られた時に、負けが決まるって」
「どういうこと?」
「自慢気にボディーガードを紹介してどうするの? そんなやつを近くに置かなくちゃあならないこと自体、自分で自分を守れない人間だと白状しているようなものよ。ボディーガードじゃなくて、観葉植物とでも紹介しておけばよかったのに」
アトスは、ベッドに仰向けになった敦子の上に馬乗りになった。
「お願い、見逃して! 欲しいものがあったら、何でもあげる。だから助けて!」
敦子が、息を荒げながら懇願する。
「できないね」
アトスが、敦子の首を両手で締め上げる。
「ここに来る前、あんたのことを思い出した。あの秘密機関、SEXYにいたことを」
「何だって?」
「あんたは、あそこの教官だった。尋問や殺人のための薬物使用が、あんたの担当講座だったはずよ」
アトスが言った。
「どうしてそれを……」
「わたしも、同じ場所にいたから。ただし、わたしは人を殺したり傷つけたりする技術を教えたりはしなかった」
「そうか。思い出したよ。あんた、催眠術の達人だったあの大学院生ね。心理学の講座を受け持っていた……」
それには答えず、アトスはさらに両手に力を込めた。敦子が「ぐえっ」と苦しげな声を上げる。
「えっ、偉そうなことを言わないでおくれ。あんただって、あの組織の、SEXYの一員だった。どうせ金に目がくらんだんだろう?」
「違うわ!」
アトスが、敦子の言葉をさえぎった。
「どういうこと?」
「自慢気にボディーガードを紹介してどうするの? そんなやつを近くに置かなくちゃあならないこと自体、自分で自分を守れない人間だと白状しているようなものよ。ボディーガードじゃなくて、観葉植物とでも紹介しておけばよかったのに」
アトスは、ベッドに仰向けになった敦子の上に馬乗りになった。
「お願い、見逃して! 欲しいものがあったら、何でもあげる。だから助けて!」
敦子が、息を荒げながら懇願する。
「できないね」
アトスが、敦子の首を両手で締め上げる。
「ここに来る前、あんたのことを思い出した。あの秘密機関、SEXYにいたことを」
「何だって?」
「あんたは、あそこの教官だった。尋問や殺人のための薬物使用が、あんたの担当講座だったはずよ」
アトスが言った。
「どうしてそれを……」
「わたしも、同じ場所にいたから。ただし、わたしは人を殺したり傷つけたりする技術を教えたりはしなかった」
「そうか。思い出したよ。あんた、催眠術の達人だったあの大学院生ね。心理学の講座を受け持っていた……」
それには答えず、アトスはさらに両手に力を込めた。敦子が「ぐえっ」と苦しげな声を上げる。
「えっ、偉そうなことを言わないでおくれ。あんただって、あの組織の、SEXYの一員だった。どうせ金に目がくらんだんだろう?」
「違うわ!」
アトスが、敦子の言葉をさえぎった。