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レディー・マスケティアーズ
第12章 ミッション終了 ――横浜 ホテルのスィートルーム
「そんなことがあったかしら」
あれはアラミス? ポルトス? それとも男性メンバーの誰か? どちらにしても、言った本人も記憶していないようだった。
「あの時は気にも留めていなかったが、みんなの報告を聞くうちに確かにおかしい気がしてきた。木庭茂はそんな危ない橋を渡らなくても、姉貴に泣きつけば金なんてどうにでもなる。目的は別のところにあるのでは……。そう思い始めたんだ」
顎をこすりながら、松永が言った。
「隊長にそう言われて、改めてトーホー開発の経理部にある『表』の帳簿と『裏』の帳簿を突き合わせてみたのよ」
アトスが言った。
「ちょっ、ちょっと待ってよ。アトス。会社で厳重に保管されている帳簿と、どうやって突き合わせたの?」
アラミスが声を上げる。
「そうよ。それに、あの会社に社員番号の登録があることを、いつ知ったの?」
ポルトスも唇を尖らせた。
「お友達の手を借りたのよ。あの会社に長くいる経理のプロフェッショナルの手をね」
アトスが涼しい顔で答える。
「えっ? また、あいつに、経理課長の藤川芳郎に術をかけたのね」
アラミスが呆れたように言う。
「ということは、あのもじゃもじゃ頭を、また天国に招待したのか。あの助平親父のことだから、もしかしたらアトスをレイプする夢でも見ていたんじゃない?」
今度はポルトスだ。
「知らないわよ、そんなこと」
アトスは取り合わなかった。
「だけど、アトス。催眠術をかけた相手が、どんな夢を見るかわかるの? この間の木庭敦子にしても……」
恥ずかしそうに、ダルタニァンが聞く。
「いいえ、わからない。だって、夢はその人のものでしかないでしょう?」
アトスが、そう答えた。
あれはアラミス? ポルトス? それとも男性メンバーの誰か? どちらにしても、言った本人も記憶していないようだった。
「あの時は気にも留めていなかったが、みんなの報告を聞くうちに確かにおかしい気がしてきた。木庭茂はそんな危ない橋を渡らなくても、姉貴に泣きつけば金なんてどうにでもなる。目的は別のところにあるのでは……。そう思い始めたんだ」
顎をこすりながら、松永が言った。
「隊長にそう言われて、改めてトーホー開発の経理部にある『表』の帳簿と『裏』の帳簿を突き合わせてみたのよ」
アトスが言った。
「ちょっ、ちょっと待ってよ。アトス。会社で厳重に保管されている帳簿と、どうやって突き合わせたの?」
アラミスが声を上げる。
「そうよ。それに、あの会社に社員番号の登録があることを、いつ知ったの?」
ポルトスも唇を尖らせた。
「お友達の手を借りたのよ。あの会社に長くいる経理のプロフェッショナルの手をね」
アトスが涼しい顔で答える。
「えっ? また、あいつに、経理課長の藤川芳郎に術をかけたのね」
アラミスが呆れたように言う。
「ということは、あのもじゃもじゃ頭を、また天国に招待したのか。あの助平親父のことだから、もしかしたらアトスをレイプする夢でも見ていたんじゃない?」
今度はポルトスだ。
「知らないわよ、そんなこと」
アトスは取り合わなかった。
「だけど、アトス。催眠術をかけた相手が、どんな夢を見るかわかるの? この間の木庭敦子にしても……」
恥ずかしそうに、ダルタニァンが聞く。
「いいえ、わからない。だって、夢はその人のものでしかないでしょう?」
アトスが、そう答えた。