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レディー・マスケティアーズ
第5章 作戦開始 ――恵比寿 海綿清掃のフロア
「なるほど。面白くなってきたわね」
さっきから一言も発しなかった、いちばん年長の女が少し掠れた声を漏らした。
「そうとも、アトス。いよいよ三銃士の出番というわけだ」
松永が張りのある声で言った。
アトス。今日は眼鏡を外し、後ろにひっつめた髪をほどいてはいたが、よく見ると、この間受付に座っていた館山千尋だった。
館山千尋も、三銃士の一人というわけか。
先ほどからのミーティングや男女が絡み合う映像を前にしても、平然とした態度を崩さないところからして、只者ではなさそうだ。彼女も、みんなと同じ黒のレオタードと網タイツを身にまとっていた。
四十代だとしたら、とうていその歳には見えない体の線をしてはいたが、豹のようにしなやかな肢体のアラミスや、すれ違っただけで男が勃起しそうな巨乳のポルトスとは比べようがない。
三銃士を名乗るほどの、何か特別な個性か技術の持ち主なのだろうか。
「工藤。さっきの続きの仕事を見せてくれ」
松永が続けた。
「ああ、いいよ」
針金のように細い体を起こして、アロハシャツの工藤が再びスクリーンの前に立った。
「先ほどまで皆さんお楽しみの大活劇があったのは、ここ。三軒茶屋にある木庭浩一名義のマンションさ。買い与えてやったのは、叔父の茂というより、叔母の敦子だよ」
グレイで統一されたマンションの外観と、洒落たエントランスの写真。一階の集合ポストに貼られた「K・SAKAMOTO」というプレートがアップになる。
工藤の話では、浩一は、敦子と茂の死んだ妹の息子だということだ。
「次に、ここ。さっき言った木庭茂の成城の自宅さ」
さっきから一言も発しなかった、いちばん年長の女が少し掠れた声を漏らした。
「そうとも、アトス。いよいよ三銃士の出番というわけだ」
松永が張りのある声で言った。
アトス。今日は眼鏡を外し、後ろにひっつめた髪をほどいてはいたが、よく見ると、この間受付に座っていた館山千尋だった。
館山千尋も、三銃士の一人というわけか。
先ほどからのミーティングや男女が絡み合う映像を前にしても、平然とした態度を崩さないところからして、只者ではなさそうだ。彼女も、みんなと同じ黒のレオタードと網タイツを身にまとっていた。
四十代だとしたら、とうていその歳には見えない体の線をしてはいたが、豹のようにしなやかな肢体のアラミスや、すれ違っただけで男が勃起しそうな巨乳のポルトスとは比べようがない。
三銃士を名乗るほどの、何か特別な個性か技術の持ち主なのだろうか。
「工藤。さっきの続きの仕事を見せてくれ」
松永が続けた。
「ああ、いいよ」
針金のように細い体を起こして、アロハシャツの工藤が再びスクリーンの前に立った。
「先ほどまで皆さんお楽しみの大活劇があったのは、ここ。三軒茶屋にある木庭浩一名義のマンションさ。買い与えてやったのは、叔父の茂というより、叔母の敦子だよ」
グレイで統一されたマンションの外観と、洒落たエントランスの写真。一階の集合ポストに貼られた「K・SAKAMOTO」というプレートがアップになる。
工藤の話では、浩一は、敦子と茂の死んだ妹の息子だということだ。
「次に、ここ。さっき言った木庭茂の成城の自宅さ」