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レディー・マスケティアーズ
第5章 作戦開始 ――恵比寿 海綿清掃のフロア
「おいおい、静かにしてくれよ。言っておくが、今回のキャスト全員の中で、この女がいちばんの有名人だ」
吉岡が一本指を立てた。
「コンサルタントと称していて、政界の大物までがお得意様だという噂もあるが、どんな仕事でこれほど稼いでいるかはわからない。この成城の屋敷にしても、前の持ち主からただ同然で譲り受けたと陰口を叩くやつもいるくらいだ」
「ほおっ」
フロアが静まり返った。無駄口を叩く者は誰もいない。
「もう一つ。この場所も覚えておいてくれ」
吉岡の合図で坂上がキーボードを叩き、またスクリーンが切り替わった。
「『カフェ・アレクサンドル』。木庭浩一は、週に一度はここに顔を出す。銀座五丁目にある会員制クラブで、叔父の木庭茂や部長の田野倉も、負けないくらいの常連だ」
アトスが、ヒューッと口笛を吹いた。
「アレクサンドル? それって、デュマのファーストネームじゃない?」
「ああ。ビリヤードやカードゲームも気軽に楽しめる男の楽園。世界中の名酒を揃え、女たちも一級品という会員制クラブだ。でも、それは表向きでな。おれも刑事時代、何度か踏み込もうとして手を焼いた代物さ」
言い淀む吉岡の後を、所長の松永が受け持った。
「その通り。『カフェ・アレクサンドル』の実体は『超』がつく高級売春クラブだ。裏で囁かれている噂では、女を雇い入れるのに特別のオーディションがあるらしい。外見はもちろん、男をどこまで悦ばせられるかのテストだ。3P、スカトロ、おしっこ飲み。どんな変態客の申し出も、けっして嫌と言わない女かどうかをテストするということだ」
松永が深く息をつく。
吉岡が一本指を立てた。
「コンサルタントと称していて、政界の大物までがお得意様だという噂もあるが、どんな仕事でこれほど稼いでいるかはわからない。この成城の屋敷にしても、前の持ち主からただ同然で譲り受けたと陰口を叩くやつもいるくらいだ」
「ほおっ」
フロアが静まり返った。無駄口を叩く者は誰もいない。
「もう一つ。この場所も覚えておいてくれ」
吉岡の合図で坂上がキーボードを叩き、またスクリーンが切り替わった。
「『カフェ・アレクサンドル』。木庭浩一は、週に一度はここに顔を出す。銀座五丁目にある会員制クラブで、叔父の木庭茂や部長の田野倉も、負けないくらいの常連だ」
アトスが、ヒューッと口笛を吹いた。
「アレクサンドル? それって、デュマのファーストネームじゃない?」
「ああ。ビリヤードやカードゲームも気軽に楽しめる男の楽園。世界中の名酒を揃え、女たちも一級品という会員制クラブだ。でも、それは表向きでな。おれも刑事時代、何度か踏み込もうとして手を焼いた代物さ」
言い淀む吉岡の後を、所長の松永が受け持った。
「その通り。『カフェ・アレクサンドル』の実体は『超』がつく高級売春クラブだ。裏で囁かれている噂では、女を雇い入れるのに特別のオーディションがあるらしい。外見はもちろん、男をどこまで悦ばせられるかのテストだ。3P、スカトロ、おしっこ飲み。どんな変態客の申し出も、けっして嫌と言わない女かどうかをテストするということだ」
松永が深く息をつく。