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レディー・マスケティアーズ
第6章 ポルトス ――トーホー開発 特命企画部
「ちょっ、ちょっとお待ちください」
受付からの通報を聞いたのか、転がるようにエレベーターから飛び出してきた男が、息を切らせたまま、「これを、これを」と封筒を年長の男のポケットにねじ込む。
「おっ、お願いですから、今日のところはこのへんで」
額の汗を拭こうともせず、ひたすら頭を下げる男の首には、「人事部長 大泉」と書かれたプレートが下がっていた。
「どうか、どうか今日のところは……」
ゲジゲジ眉毛は、封筒の厚みを手で探りながら、ぴかぴかに磨かれた床につばを吐き捨てた。
「ちぇっ、これで済むと思うな!」
「そうだ。山岸沙也子の居所は突き止めているんだ。だから、こうやって足を運んでいるのよ! おれたちが何の用で来たか、あのスケに聞いてみるがいい!」
若いほうの針金男が、受付のテーブルに置かれた花瓶を力任せに払った。「ガチャン」という陶器の割れる音と、「キャーッ」という二人の受付嬢の泣き声が重なる。
「いいな。山岸沙也子に言っておけ! 『鬼塚金融』の使いの者が来たってな! わかったか!」
捨て台詞を残し、男二人がトーホー開発のビルを出たのは一時間後。大きな息を吐き、人事部長の大泉が周囲を見渡すと、フロアにいた来客たちは一人残らず姿を消していた。
へなへなと腰を抜かした受付嬢たちのスカートから何かがほとばしり、見る見るうちに床に水溜りができた。二人仲良く失禁したようだ。
受付からの通報を聞いたのか、転がるようにエレベーターから飛び出してきた男が、息を切らせたまま、「これを、これを」と封筒を年長の男のポケットにねじ込む。
「おっ、お願いですから、今日のところはこのへんで」
額の汗を拭こうともせず、ひたすら頭を下げる男の首には、「人事部長 大泉」と書かれたプレートが下がっていた。
「どうか、どうか今日のところは……」
ゲジゲジ眉毛は、封筒の厚みを手で探りながら、ぴかぴかに磨かれた床につばを吐き捨てた。
「ちぇっ、これで済むと思うな!」
「そうだ。山岸沙也子の居所は突き止めているんだ。だから、こうやって足を運んでいるのよ! おれたちが何の用で来たか、あのスケに聞いてみるがいい!」
若いほうの針金男が、受付のテーブルに置かれた花瓶を力任せに払った。「ガチャン」という陶器の割れる音と、「キャーッ」という二人の受付嬢の泣き声が重なる。
「いいな。山岸沙也子に言っておけ! 『鬼塚金融』の使いの者が来たってな! わかったか!」
捨て台詞を残し、男二人がトーホー開発のビルを出たのは一時間後。大きな息を吐き、人事部長の大泉が周囲を見渡すと、フロアにいた来客たちは一人残らず姿を消していた。
へなへなと腰を抜かした受付嬢たちのスカートから何かがほとばしり、見る見るうちに床に水溜りができた。二人仲良く失禁したようだ。