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レディー・マスケティアーズ
第6章 ポルトス ――トーホー開発 特命企画部
*
トーホー開発の四階にある会議室フロア、いちばん奥の会議室で、田野倉祐作は内線電話のボタンを押した。
「ここにお連れしろ。そうだ、山岸沙也子さんをだ」
ほどなくしてノックの音が聞こえる。か細い声で「失礼します」と入ってきたのは、二週間前に田野倉の部署――特命企画部――に契約社員として入ってきた山岸沙也子だった。
「どうぞ」
田野倉は、テーブルをはさんだ向かいの椅子を勧めて、沙也子に座るよう言った。
言われるまま腰を下ろそうとするだけで、山岸沙也子の胸元がぷるっと揺れる。いつ見ても脂の乗った、いい体をしてやがるぜ。
今日の沙也子は、髪をポニーテールにまとめ、黒っぽいスーツの上下に白のTシャツというお固い服装だったが、どんなに品よく振る舞おうと同じだ。こうして向き合っているだけで、頭がくらくらしそうだ。
「山岸沙也子 三十一歳 既婚」とあった履歴書には、採用面接の時に田野倉も目を通している。人妻だということは、とうに承知していた。履歴書には、細かい字で資格や特技も記されているようだったが、そんなものはハナから気にもしていない。塚越のババアの推薦もあったらしいが、それも問題ではなかった。
契約社員に採用すると決めた理由は、この女の「体」だ。それしかない。
トーホー開発の四階にある会議室フロア、いちばん奥の会議室で、田野倉祐作は内線電話のボタンを押した。
「ここにお連れしろ。そうだ、山岸沙也子さんをだ」
ほどなくしてノックの音が聞こえる。か細い声で「失礼します」と入ってきたのは、二週間前に田野倉の部署――特命企画部――に契約社員として入ってきた山岸沙也子だった。
「どうぞ」
田野倉は、テーブルをはさんだ向かいの椅子を勧めて、沙也子に座るよう言った。
言われるまま腰を下ろそうとするだけで、山岸沙也子の胸元がぷるっと揺れる。いつ見ても脂の乗った、いい体をしてやがるぜ。
今日の沙也子は、髪をポニーテールにまとめ、黒っぽいスーツの上下に白のTシャツというお固い服装だったが、どんなに品よく振る舞おうと同じだ。こうして向き合っているだけで、頭がくらくらしそうだ。
「山岸沙也子 三十一歳 既婚」とあった履歴書には、採用面接の時に田野倉も目を通している。人妻だということは、とうに承知していた。履歴書には、細かい字で資格や特技も記されているようだったが、そんなものはハナから気にもしていない。塚越のババアの推薦もあったらしいが、それも問題ではなかった。
契約社員に採用すると決めた理由は、この女の「体」だ。それしかない。